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    美女栽培 2 『明治スーパーカップル』 (2)

    2015.07.04 Saturday

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       押しつけられたものは柔らかい。お互いの抵抗が働いて、私の唇がゆがむのを感じる。相手のものもそうだ。
       生まれてこの方まともにキスをしたことがないけれど(それこそ生まれたときぐらいである)、すぐに「キスされている」ということに気付いて、薄目どころかまぶたを最大限に開く。
       彼女の顔がすぐそこにある。かわいい。違う違う。
       肌のトラブルなど一切見受けられない綺麗な肌。目は閉じている。
       そういえば、キスのときに目を開けている女は遊んでるってよく言うよね。今どうか知らないけど。その理論でいくと今目開けてる私超遊び人じゃんやべぇ!わはは!
       まあ遊び人どころかそんな経験自体全くないんですけどね!わはは!死にてぇ。
       ファーストキスを美少女に奪われるという素晴らしい境遇に置かれながらも、私の頭は素直に喜びを享受できない。いや、嬉しいけどさ。別に私今日ちゅーしに来たんじゃないんだよね。
       彼女の方が背が少し低いので、背伸びしているようだった。けれども背伸びに疲れてぷるぷるしているということもないので、慣れてるんだろうな。慣れてるのか。なんかショック。
       いや、だからね。しつこいけどさ。キスウしてもいいのよ。っていうかありがとうございますって感じだけどさ。なんで今?そしてなんでここ?色気が!色気がない!
       どれくらい唇が押し当てられているのかわからないけれど、さすがにそろそろ何か言うべきだろう。私は口を開こうと、少しだけ唇の力を弱める。
       瞬間、ぬるりとなにかが私の口腔へと侵入してきた。私は驚きの声を上げる。いや、あげようとした。
       入ってきたものが私の舌を絡めとったので、言葉を発することができない。「んー!」とか「もふー!」みたいな情けない声が響く。
       恥ずかしくて直接表現しなかったけど、おそらく私に入ってきたものは彼女の舌である。そりゃそうでしょ。ここまでの流れは「キスされた」なんだから。他の選択肢はありえない。「キスされた」、「口の中になにかがぬるりと入ってくる」、「さて、なにが入ってきたでしょう?」、「うなぎです!」、そんなバカな。
       私が衝撃に目を見開いているのにもかかわらず、相変わらず彼女の目は閉ざされたままだった。これで瞳が涙で少し潤んでたりしたら私的に得なんだけどなぁ。違う違う。
       彼女の舌が、私の舌の側面を左回りにぐるぐるとなぞっていく。ん?彼女からみたら右回りなのか?あぁん、もう訳がわからないよ。
       微かに唾液の音がする。今までに味わったことのない感覚に、少しだけ体が震えた。だるさと、くすぐったさと、しょっぱさと、すっぱさが混ざったような感覚。
       少しでも歯を動かしたら彼女の舌を傷つけてしまうだろう。そんなことを考えて私は一切声を漏らせなくなった。実際に見たというわけではないけれど、触れている感じだと彼女の舌はとても滑らかだったのである。口内炎などとは無縁そうな舌。
       舌が回る。洞窟の中で、真っ暗闇の中行われる舌の舞踏会。BGMは唾液の混ざる音と、私から漏れる色気のない喘ぎのようなもの。喘いでるっていうか呼吸困難でむせてる。うわっ、色気ねぇ。
       などと考えていたら、突然に彼女が私の舌を吸いながら激しく音を立てる。ずりゅりゅりゅりゅ。その音の振動に合わせるように、私も震え上がった。なにこれ。
       私の舌を解放した彼女のピンク色の鞭は、私の唇のところまで退いた。ああ、終わってしまったなんて思っていたら。
       彼女の舌はそのまま引き抜かれるということはなく、次は私の唇の表面をすべり始めた。デロンとか、ベロンというような音がふさわしい、豪快な舐め方。
       上唇下唇上唇上唇下唇上唇。唇の表面と、唇と歯の間の肉の部分を出入りしながら、彼女は私を撫で回した。ああ、なんかもうだめだ。気が狂いそう。
       気が緩んだ私の口元から、再び彼女が押し入った。今度はメインは舌ではない。口腔の側面をぐりぐりと削るように舌が当たる。側面からぐるりと舐め回され下唇。歯とした唇の間の肉の部分。再び舌。舌。絶えず舌。側面。肉。上唇。舌。ああ、実況疲れる。
       なぜか泣き出しそうになって、このどうしようもない気持ちをせめてハグで表そうと腕を彼女の腰に回そうとしたとき、とうとう彼女は私の中から去っていった。すっと彼女が一歩下がる。
       「なにをするだァー!」と声を上げるべきだったのだろうけど、なにも声が出せない。力が抜ける。腰が抜けた。魂のようなものまで抜き取られたような気分である。ファーストキスにしてはあまりにも長くディープすぎやしませんか。お嫁にいけない。責任とって下さい。結婚しよう。
       先に言葉を発したのは、彼女だった。
      「はい、おわり。ちょっと待っててね」
       そういうと彼女は、どこからか小さい試験管のようなものを取り出す。側面の丸まった、5cmほどの白い筒に、白いキャップがついている。彼女はそのキャップを外すと、だらしなくぽかんと口を開けた。
       少しだけ舌を伸ばす。しばらくすると、彼女の中にあった体液が舌をつたってゆっくりと降りてくる。その唾液がのんびりと試験管の中に落ちていき、液体が試験管の底に溜まった。
       私は、さっきまで私を満たしていたその舌をぼんやりとただ眺めている。想像の通り、その舌はざらざらしないだろうと思われるほどなめらかだった。この世にこれほどまで摩擦を生まないものはないだろうというような、ピンク色の肉。
       官能的な気分に犯されて、私は唾を飲む。普段と違う味がする。彼女の味、だろうか。あるいは、私の「雌の味」か。
       際限なくどろどろと降りてくる唾液がある程度溜まったのを見計らって、彼女はキャップを閉じる。そしてそれを渡してきた。
      「おつかれさま。これがお望みのエキスよ」
       私は彼女から試験管を受け取る。触った感じ、ガラス質ではないらしい。シリコンかな。
       そういえば、最初に「あなたの唾液が」とか何とか言ってたが、こういうことだったのか。ちゅーしないと摘出できないのね。いいのか悪いのか。
      「ありがとう」
       私は敬語で話すべきかわからなくなって、とりあえず同じ立場の者としてお礼を言った。彼女の方が偉そうではあるけれど、歳はあまりかわらなそうだしなぁ。
      「これをその女の子に投与してあげれば、彼女はめでたく嘘を見抜けるわ」
       私は右手に持ったエキスを眺めながら、質問をする。
      「これを飲んでもらうの?」
       唾液?を飲んでもらうのって、かなり抵抗があるのだけど。しかも少しは私のも混ざってるんでしょう?萌える。
       違う違う。
      「飲んじゃだめなのよねぇ。難しいところだけど」
      「どうすればいいの?」
      「これをあなたが口に含んで、さっき私がしたようなことをする」
      「ん?」

      「要するに、あなたもちゅーしなきゃいけないのよね」
       まじですか。

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